焼けるような暑い日が続き、とても炎天下に自転車を漕ぎ出す気になりませんね。
今日は、私が体験したちょっと不思議な話を書きます。
少しは暑さを忘れる事ができるかも知れません。
怪談とかそんな恐ろしい話ではありませんからご安心下さい。
どれくらい前の事だったか、2年、いや、もっと前か、花粉症の季節、3月とか4月、
風の強い春の日だった。
あてもなくポタリングに出かけ、逢妻女川自転車道入り口へ向かってゆっくり走っていた。
その女の子は、自転車道入り口付近の住宅街の細道から突然現れ、私の前に出てきた。
小学校低学年、1年生か2年生位だろうか。
水色の子供用自転車で、水色の真新しいヘルメットを被っていた。
自転車はピカピカで、おそらく買ったばかりだろう。
もう、自転車に乗りたくてどうしようもない。
そんな思いが体全体から溢れ出ている。そんな強い印象を受けた。
ところが、親兄弟と一緒とかではなく、一人きり。
自転車道とは言え「危ないなあ・・・」と自分も娘を持つ親として感じた。
同時に、娘が小さかった頃、自転車乗る練習でよく一緒に走った事も思い出した。
そんな事をぼんやり思いながら、いつの間にか、その女の子の後ろをゆっくり走っていた。
女の子は振り返るでもなく、自分に気づくでもなく、ひたすらペダルを回している。
すっかり追い越すタイミングを無くし、自転車道をしばらく一緒に走った。
ところが、突然自転車道から一般道へ出て行ってしまいました。
「大丈夫か・・・・」とも思ったが、きっと引き返して家に帰るんだろうなと思い、
そのまま見送った。
前が空いたので、一気にペダルを踏み込んで加速する。どんどんスピードは上がる。
逢妻女川の堤防自転車道を快調に走り、視界が開けた田園地帯に出ると、自転車道と平行して伸びる田んぼの1本道の前方をさっきの女の子が走っている。
一瞬目を疑ったが、ピカピカの水色の自転車、水色のヘルメット。
間違いなくさっきの女の子だ。
地元民しか知らないスペシャルな抜け道でもあるのか。
いやいや、そんなものはある筈ない。
いくら自分が貧脚とはいえ、カーボンバイクで普通に平坦路を漕げば、
時速25~30キロは出ている。
20インチ程度の子供用自転車で同じ速度を出せたとしても、かなりのハイケイデンス。
いや、無理だ。 誰かにクルマで連れてきてもらったのか。
いやいや、女の子と別れてまだ10分も経っていない。
偶然、よく似た別人が走っていただけなのか。もう、何が何だかわけが分からない。
気がつくと、女の子の姿を見失っていた。それからのことはよく覚えていない。
今朝飲んだ花粉症薬の副作用で見た幻覚だったのか。春の日の幻だったのか。
この日の出来事は今でもミステリーのまま。
突然、初めて自転車に乗れた日の事を思い出した。
うれしくて、うれしくて、とにかく遠くへ行ってみたかった。
きっとあの子も、うれしくて、うれしくて、春の強い風に乗って
私を追い越したんだろう。
ふと、遊佐未森の「風の自転車」を思い出した。
コメント
三度目の遭遇が無くて良かったですね。
追い越された自転車にまた追い越される事はよくあることですが、
不思議な体験でした。