【愛知県西尾市・蒲郡市】名鉄蒲郡線に乗ってみた ~白帯ワンマンカー にしがま号~ | Silent Dream | an氏の雑記

【愛知県西尾市・蒲郡市】名鉄蒲郡線に乗ってみた ~白帯ワンマンカー にしがま号~

名鉄蒲郡線について

難読地名の一つでもある「蒲郡」は「がまごおり」と読みます。

名鉄蒲郡線は、名鉄西尾線の終点、吉良吉田駅から蒲郡まで三河湾沿いを走るローカル線です。

蒲郡線へ行くには名鉄名古屋本線「新安城」駅で西尾線に乗り換え、終点の吉良吉田まで行きます。
なお、名古屋方面からなら、吉良吉田までの直通電車もあります。

しかし、名古屋方面から蒲郡線に乗車する事だけが目的であれば、JR東海道線で蒲郡へアプローチ
するのが一般的です。

名鉄で一番廃線に近い路線?

蒲郡線は、以前から廃線が危惧されており、沿線の西尾市、蒲郡市から補助金が充当され、
名鉄との合意の上、存続しているのが実態です。それでも赤字です。

今年3月の沿線自治体と名鉄との協議のうえ、今後5年間の存続が決定しました。
これにより、令和7年3月までは、とりあえず存続できるという事です。

いざ、蒲郡線へ

蒲郡線へのアプローチはもちろんJR蒲郡駅です。
しかも、クルマで向かいます。
蒲郡線に乗車することが目的なので、移動手段は何でもいいんです。

駅前には、南口、北口共に時間貸し駐車場があり、最初の30分は無料で、以降30分毎に100円、
上限1000円設定です。駅から少し離れると上限700円の所もありました。

蒲郡線の乗り方

都会人がローカル線に乗車すると戸惑う「あるある」とかありますよね。
ドアは自分でボタンを押して開けるとか・・・。

ご安心下さい。蒲郡線の乗車ルールはそこまで難しくありません。

蒲郡駅の切符売場です。

普通に運賃表を見て、行きたい駅までの切符を券売機で購入するだけです。

吉良吉田と蒲郡以外は無人駅ですが、全駅に同じ様な券売機が設置されています。
改札ではなく、ホームに設置されている駅もありますので、よく探して下さい。

下車する際は、一番前のドアからになります。

運転席の後ろあたりに昔のバスにあった様な運賃箱がありますので、切符を運転手に
見せて、そのまま運賃箱に入れてしまえばOKです。

券売機周辺に注意事項が書かれた掲示物がたくさんあります。

掲示物を拡大しています。
manacaやsuicaなど、ICカードは基本的に使用できません。

例外として、吉良吉田駅で下車、または乗り換える場合のみ、乗車する際に、券売機で切符で
はなく、乗車証明書を発券し、吉良吉田駅でmanacaの残高で精算することが可能です。
吉良吉田駅には有人の中継改札(一旦改札を出て西尾線に再び乗車する)があります。

toicaやsuicaカードでも良いような気がしますが、manacaICカード限定の様な書き方が
してあります。(モバイルsuicaなどは確実に不可です)

面倒な事になりそうなので、キャッシュ(現金)で切符を買いましょう!

蒲郡線限定の一日乗車券の様なものはありません。
名鉄全線まる乗り1DAYフリーきっぷはありますが、3200円なので、吉良吉田から他の路線
へも行くか、もとを取るなら蒲郡線を7往復以上する必要があります。

これが一番重要かも知れません。

蒲郡から、名古屋へ行くのに蒲郡線を使用すると「約100分」かかります。

ちな(参考)JR名古屋 快速で 約40分 と書かれています。

微妙な書き方ですが、要するに名古屋へ行くには蒲郡線を利用してはいけません。
JR東海道線の快速を利用したほうが「えぇよ」と遠回りに名鉄も推奨しています。

もちろんどちらを利用するかはあなた次第です。

ちなみに料金は 名鉄 1290円、JR 990円です。

こどもの国(駅)へ行きます

蒲郡線は、JR蒲郡駅の南側の端っこにある1面2線のホームから出発します。

蒲郡競艇場前駅(JRは三河塩津駅)までは、JR東海道線と並走します。

蒲郡線は三河湾沿いを走りますが、さほど海の見える場所はなく、西浦駅からこどもの国駅間で
西浦海岸を望むことができます。

遠くに見える西浦半島の山の上が西浦温泉です。

西浦温泉辺りから蒲郡線と海を絡めて撮影することが可能で、朝早い時間に撮影してきました。

西浦温泉へ登る遊歩道の途中にある展望台から超望遠レンズで撮影した海岸線を走る蒲郡線です。
松の木の防風林が掛かってしまいますが、まあ、許容範囲です。

こちらは1週間前に防波堤の上から撮影したものです。(2週連続の蒲郡線です)

海と絡めて蒲郡線を撮影するにはここからがオススメです。

話がそれましたが、「こどものくに」駅で下車しました。

こどもの国駅は券売機がホームにあるタイプの駅です。

天気の良い土曜日の午前中だったので、結構多くの人が下車しましたが、実際は名鉄でも常に
上位をキープする「乗降客の少ない駅」です。

1974年(昭和49年)10月29日に開園した「愛知こどもの国」の最寄り駅として、当時の洲崎駅を東へ400m移転させて開業した。1976年(昭和51年)10月10日にこどもの国駅に駅名を改称した。かつて(1984年頃まで)は特急などが当駅に特別停車していたこともある。

ウィキペディア(Wikipedia)より引用

愛知こどもの国の最寄り駅といいつつ、かなり距離はあり、しかも山の上です。
バス輸送していた時期もありましたが、現在は歩くしかなく、小さな子供には無理です。
モータリゼージョン時代と共に役目を終えた駅と言わざるを得ません。

西浦駅まで歩きます

朝、西浦の展望台から撮影した海岸へ歩いて行きます。

こどもの国駅を出て歩き始めると、ちょうど「にしがま号」の白帯6000系が入線してきました。

「にしがま号」とは

名古屋鉄道は、西尾市・蒲郡市と締結した「名鉄西尾・蒲郡線に関する連携合意書」の合意事項である「地域とともに更なる観光推進」の一環として、3 月 19 日(土)より、西尾・蒲郡線(西尾駅~蒲郡駅間)を走る 6000 系ワンマン車両(2 両 1 編成)の前面及び側面に、白帯のラッピングを施して運行します。

名古屋鉄道webページより引用

なお「にしがま号」の系統版の掲出は5月8日(日)までとなっています。
にしがまと言うのは察しの通り、「西蒲線」から来ています。

白帯(”しろおび”とか “はくたい”と言われる)とは

いわゆる柔道の「しろおび」とは無関係です。

1980~1990 年代にかけて有料特急専用車両であることを示すため、7700 系車両等の車体に施されていた白い帯状の塗装をイメージしています。このたびの復刻により当時を懐かしんでいただくとともに、西尾・蒲郡観光活性化のコンテンツとして活用します。

名古屋鉄道webページより引用

これは何十年か前、正月に犬山橋で撮影した7700系の特急豊川稲荷行き白帯特急です。

7700系は3灯のヘッドライトでしたが、これが一番6000系白帯に近いかも知れません。
7700系は既に廃車済です。

蒲郡線に戻ります。

県道を蒲郡方面へ歩くと頭上に蒲郡線が現れます。
電車が通過したのでとっさに撮影しました。

とにかく良い天気で、初夏を思わせるような暑さです。

線路沿いを行くと「蒲郡市」の看板が現れます。

線路が降下を始めた辺りに現れる低いガード下を進むと、不自然に置かれたテトラポットが
迎えてくれます。ここに来るのはおそらく20年ぶりくらいですが、その頃からあります。

先に紹介した水上バイクの写真と同じ辺りを行く列車です。

この場所は、緩いカーブで架線柱が片側にしかないので、編成写真を撮るのに最適です。

にしがま号の通過までまだしばらく時間があるので、普通の6000系で練習です。
基本的に、蒲郡線はこの6000系が3編成行ったり来たりしています。

そして、本番のにしがま号が通過していきました。

蒲郡線はローカル線ですが、ゆっくりゴトゴト走るのではなく、結構なスピードで
通過していきます。最高速度は吉良吉田手前の直線で90km/hくらいは出します。

西浦駅の入れ替え(すれ違い)

こどもの国駅から西浦駅まで歩いて来ました。

これが、西浦温泉の玄関口である西浦駅です。
駅前からは、西浦温泉行きのバスが今でも運行されています。

ずいぶんボロい駅舎です。
安全上問題なければ、鉄道ファンにとっては、駅舎なんてボロければボロいほどいいです。

中はこんな感じで、時が止まったようです。(時計は動いています)

蒲郡線は全線単線で、基本的に西浦駅と三河鳥羽駅で入れ替え(すれ違い)が行われます。

島式ホームで同じ列車が並び、すれ違うシーンてなんとも言えない良さがあります。

蒲郡方面へ向かう列車が先に到着して待っていると、ヘッドライトを着けた吉良吉田行きの
列車がゆっくりホームに入ってきます。

にしがま号に乗って蒲郡へ戻ります

撮影するために乗車してなかったにしがま号に初乗車します。

もちろん車内にじゅうたんが敷いてあって、シートがクロスシートになっているとか
特急仕様になっているわけありません。

中吊り広告が懐かしの白帯特急のオンパレードになっています。

私の様なおっさんには懐かしく、若い世代にはどう見えるのかは分かりませんが・・。

良くも悪くも、当時の名鉄が小銭(特急料金)を稼ぐために、タダで乗ることのできた
パノラマカーに厚化粧を施しただけと、批判もありましたが、今になって白帯の面影を追って
2週にわたり蒲郡線に足を運び、お金を落としたので、名鉄の勝ちと言えるでしょう。(笑)

これで、蒲郡線の記事は終了です。

ローカル線の行末

名鉄のみならず、日本全国のローカル鉄道会社は、沿線人口減少、モータリゼージョン(自動車化)
に加えコロナ禍の影響、自然災害による鉄道インフラ被害により、経営危機の状態にある
鉄道会社は少なくありません。

これからのローカル線は、人を輸送する事で利益を上げることはもはや不可能であり、
上下分離方式の導入など、鉄道インフラのあり方を根本的に改革していかないと、
赤字ローカル線は全て無くなってしまうかも知れません。

先日、千葉県の「いすみ鉄道」「銚子電鉄」を訪問してきました。
両社とも、赤字に苦しむ鉄道会社(いすみ鉄道は第三セクタ)ですが、生き残りをかけた、
なりふり構わない経営努力を目の当たりにしました。

銚子電鉄は、副業である製菓事業(ぬれ煎餅)で鉄道を維持し、駅名の売却、線路の石まで
缶詰にして販売しています。

いすみ鉄道のホームページの会社概要にかかれている一文が強く印象に残っています。

以下いすみ鉄道HPからの引用です。

”この地域には「何もないから出来ることだらけであり、ここには人間の本質である澄み切った
心を整えるリセットボタンがある」と感じています。”

”それゆえに心を取り戻すために、みんな何度も訪れて日常を見直す小さな旅・小さな鉄道が
ここにはあるのです。”

銚子電鉄車内

なりふり構っていません。
普通の鉄道会社ではここまで攻めません。

いすみ鉄道小さな踏切

乗る鉄道から、見る鉄道、癒やしの鉄道へ

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