2025年版 昔のフォルムをデジタル化する方法

昔撮影したフィルムをデジタル化(画像ファイル化)する方法を紹介します。

これまでも、フィルムのデジタル化はやってきましたが、デジタル機器(ハード)の進化と、
デジタル画像処理(ソフト)の進化に伴い、より効率的に高いクオリティでデジタル化する方法を紹介します。

はじめに書いておきますが、自身で作業を行い、あまりお金をかけないことが前提です。

「お金をかけない・・・」というのは嘘かも知れませんが。

おそらく、富士フィルムなどが提供している「写真フィルムスキャンサービ」に課金し、プロによる
プロ用機材でスキャンしてもらうのがベストだと思われます。

自分でデジタル化するメリットとしては、気が済むまで何度でもスキャンしてレタッチして
作品として仕上げる事ができるところにあると思います。

フィルム取込み環境

専用フィルムスキャナは使用せず、直接フィルムをデジカメで撮影します。

なに言ってんねんと思うかも知れませんが、下手な家庭用フィルムスキャナよりも今時のデジカメの方がスペックは上です。なんなら、最新のiPhoneでもよいですが、大量処理かつ高品質を追求するなら、ミラーレスデジタルカメラを使用することをおすすめします。

先に取込み環境をお見せしますが、私の環境はこんな感じです。

カメラ:Canon EOS R7

私が普段使用しているミラーレス一眼カメラです。
APS-Cですが、3250万画素あるので良しとします。

レンズ:Canon EF-S 60mm F2.8マクロ

レンズが一番重要で、なんでも良いわけではありません。

倍率1:1で撮影できるマクロレンズがあるとベストです。(ほぼ必須)

倍率1:1ということは、見たままの原寸がそのままフィルム(センサー)に記録できるという意味です。
そりゃあ、フィルムをそのままフィルムに撮影するので、当たり前といえば当たり前です。

キャノンのAPS-Cの場合、焦点距離60mmだと、ライカサイズ(35mm)換算で約1.6倍の96mm相当になります。

どうやら、焦点距離100mmで、きっちり35mmフィルムが1:1で収まる様ですが、
CanonのAPS-C用マクロレンズは現在 EF-S 60mmの一択です。しかも、RFマウントは存在せず変換アダプタを
介してEOS R7へ取り付けます。

買いました!(中古で4.3万円くらい)

新品での販売はすでに終了しており、中古に限定されますが、出回っている数も少なく、割高感はあります。

古い設計のレンズですが、ポートレートやマクロ撮影でのクオリテはかなり良いです。

EOSフルサイズなら、 EF100mm F2.8Lマクロと言うことになりますが、EFマウントです。
こちらはまだ現行商品みたいですが、中古で11万円前後となかなか高価です。

11万円あれば、「写真フィルムスキャンサービ」で何本フィルム取込みできるねん?
という突っ込みはなしで。

キャノン以外のメーカーでも、焦点距離が100mm前後になるマクロレンズならいける筈です。

フィルムデジタイズアダプターセット

カメラとレンズがそろえばフィルムの直接撮影は可能ですが、手持ちでフィルムのコマ撮影は
あまりにも面倒かつ困難です。

それ専用の便利グッズが用意されています。(Amazonへリンクします)

JJC 35mm フィルム フィルムデジタイズアダプター フィルムスキャナー

私が購入した時は7千円くらいでしたが、トランプのせいかどうか分かりませんが、
9千円くらいになっています。

カメラのフィルターネジ部に専用のアダプターを取り付け、セットしたフィルムを常に同じ位置で
撮影できる道具です。

フィルムをセットするマウントは6枚スリーブ用とマウントスライドが2つ同時にセットできる
ものが付属しています。

白い板は先端に取り付けて取込み光量を均等にするものです。

装着するとこんな感じにんります。

本体のアダプタのフィルター径が52mmであることから、使用するレンズのフィルター径に
合わせてステップアップおよびステップダウンする変換リンクが多数付属しています。

  • 62-52mm
  • 67-52mm
  • 55-52mm
  • 46-52mm
  • 49-52mm
  • 58-52mm

Canon EF-S 60mm F2.8マクロはフィルタ径がちょうど52mmだったので、これらの変換リンクは
不要でした。

最小焦点距離を調整できる様に長めの筒が2本付属しています。
使用レンズによって不要だったり、2個必要だったりします。
アダプター本体(1#)はネジを緩めてスライドして位置を微調整可能です。

三脚とライトボックス

必須ではありませんが、大量に連続取り込みをするなら、三脚に立てることをおすすめします。

また、光源が必要です。太陽光を使用するのも良いですが、室内や日没後は人工光が必要になります。

光の色温度は太陽光に近い方が良いのかも知れませんが、ある程度カメラ側で自動設定されるので、
過度に気にしませんが、今となっては不要になったライトボックスを利用します。

中の蛍光灯は終わっていたので、昼白色のLED蛍光灯に交換しました。(Amazonリンク)

専用の照明とかではなく、普通のライトボックスです。
LEDに交換してあるので、ちらつきもなく、色温度は分かりませんが、自然な昼白色です。

三脚へのセッテイング

三脚に立てたカメラを下向きにセットします。

ライトボックを床置きにしたこともありますが、中華製のフィルムアダプタの作りが悪く、
スリーブマウントをセットした時の「ガタ」が大きく、自重で下がってくるため下向きでないと
位置が定まりません。

ただ、この「ガタ」のおかげで、傾き調整やコマ送りの操作がし易いという副作用が良かった
りします。

ニコンも同様のアダプター販売しています。(Amazonリンク)
ニコンユーザーの方は純正品も選択肢に入れてはいかがでしょうか。
お値段はそれなりです。

露出設定

  • ISO 100
  • Av 絞り優先 F8.0
  • 評価測光
  • 電子シャッター

こんな感じです。

ノイズ軽減のため低感度ISO 100固定。

EF-S 60mmF2.8マクロはF8.0で最も高解像度となるという記事を見たのでそのまま採用

静止しているフィルム撮影なので、振動の少ない電子シャッターを利用(ほぼ無音でストレスなし)

ポジ(リバーサル)フィルムの取込み

ここからは、ソフト的なこと書きます。(取り込んだ後の話)

写真趣味でない一般の方には馴染みがないと思いますが、リバーサルフィルムというものが存在します。
フィルムに見たままの色が再現されます。昔のプロやハイアマチュアの写真愛好家が使用していたものです。

「使用していた」と過去形で書きましたが、もうそれで良いと思います。

そのほかフィルムには一般的なカラーネガ、モノクロフィルム、マニアックなところではネガ現像(C41)できる
モノクロフィルムなんてものが存在していました。(過去形)

話がそれましたが、ポジフィルムの場合はデジカメで撮影してほぼ終了です。

ポジの取込み結果

もとの素材がよくなかったのであれですが、
RAWモードで撮影したファイルを Ligthroom Clasicで読み込んで、傾き調整したり、ノイズ軽減をかけています。

当時フィルムに保存された光(風景)をRAW形式で再撮影したことで、編集できる幅が広がるところが不思議な感じです。いわゆるデジタルリマスター版ということです。

ネガフィルムの取込み

問題はネガフィルムの取込みです。

ネガフィルムをそのまま撮影すると当然ですが、色反転した画像ファイルができあがります。

一部のカメラには色反転機能を備えたものがあるらしいのですが、EOS R7にはありません。

色反転させるだけなら、 Photoshop とか Ligthroom などの画像編集ソフトで可能ですが、
ネガフィルムのベース色は無色透明ではなく、ご覧の通りオレンジ色です。

このオレンジベース色を除去して自然な色を再現するのが難しかったりします。

さらに、経年劣化で退色していたり、露出が足らなかったり、多かったり、フィルムメーカーによって
ベース色が違ったり千差万別でカオスな状況です。

Photoshopで格闘してみましたが、あきらめて課金することに・・。

専用ソフトは存在する。

ソースネクスト 復活!ネガフィルム 2

ソースネクストは安価で、他にないおもしろ機能のソフトを販売しているイメージがあるソフト会社。
このソフトもそんな感じかと思ったが、想像以上に使える。もうこれでいい。

ソースネクストは過去に個人情報を漏洩されたことがあるので、直販での購入は避けてAmazon経由で購入。

ソースネクスト「復活!ネガフィルム 2」(Amazonリンク)

使用方法を簡単に説明

初期画面

中央の「ファイルを開く」クリックして対象のファイルを選択する。

対応ファイル形式は入出力ともに「JPEG、PNG、BMP、PDF」のみ

1ファイル毎にしか読み込みできません。

AI現像処理

最初に左上の「AI現像処理」ボタンをクリックします。

取込み範囲選択

AIが自動で有効範囲を選択してくれるらしいが、ほぼ100%ダメなので、手動で四隅を選択して
範囲を確定します。

上の「現像」ボタンをクリック

AI処理現像され、現像結果が表示される。

驚くべきことにこの段階でほぼ、いい感じに仕上げてくれる。

気に入らなくても、一旦「閉じる」ボタンをクリックして決定する。(しかない)

手動で微調整

AIが現像した結果がメイン画面に表示されます。

これで良い場合は「保存」ボタンで保存先、ファイル名、形式を指定して終了

もっと攻め込みたい場合は左側のこだわりフィルタから「色彩」ボタンをクリック

色彩コントローラが出てくるので、気が済むまでコテコテ編集可能。

色合い調整の「赤味」「緑味」スライダーを調整するとフィルムベース色はほぼ除去できる。

40年以上前に私の父が軽井沢に旅行に行った時に撮影した小海線のキハです。

PNG形式で書き出したものをLigthroom Clasicでノイズ除去したものをJPEGで書きだしました。

とにかく、半世紀近く前のカメラ、フィルムで撮影してダンボール箱に放り込まれていたものなので、
復元できただけもうけ物くらいに思って割り切るしかない。

比較的最近のフィルムで好条件(適正露出)で撮影されていれば、そこそこ綺麗に現像可能です。

以上で2025年版のフィルムをデジタル化する方法は終了ですが、今後デジタル技術、AI技術が進化すれば
さらに高画質で復元可能になることは間違いありません。

コメント

コメントする

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約が適用されます。

CAPTCHA